『アヴァンギャルド・ジャズ ヨーロッパ・フリーの軌跡』

横井一江著

未知谷 2011年

 

1960年代、ヨーロッパのジャズは 独自の言語を獲得した

政治の季節、権利獲得の時代に呼応し
ドイツ、オランダ、イギリスを中心に、同時多発的に
フリージャズから新たなムーヴメントが勃興
プレイにとどまらず自主レーベル、自主組織等
新しい音楽の在り方を提示した

1980年代からドイツのジャズ祭を中心に取材
数々のミュージシャンのインタビューから見えた
本格的に紹介されることがなかった未踏のシーン
ひとつのヨーロッパ文化論!

(裏表紙紹介文)


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目次

 

まえがき 

                               

第一章 ヨーロッパとジャズ

 

映画『プレイ・ユア・オウン・シング』
第二次世界大戦前-ヨーロッパにおけるジャズ黎明期
第二次世界大戦-ファシズムとジャズ
戦後、そして現代へ

 

第二章 フリージャズがもたらしたもの 
          
六〇年代とフリージャズ
ヨーロッパ、フリージャズからフリー・ミュージックへ
イギリス、ドイツ、オランダのお国柄
演奏の場
ミュージシャン・レーベルと自主組織
ネットワーキングの始まり

 

第三章 それぞれのジャズ、新たな潮流

 

1. ドイツ
グローブ・ユニティ・オーケストラ――ヨーロッパ初大編成フリージャズ/アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハ――ヨーロッパ・フリー第一世代/ペーター・ブロッツマン――60年代反戦運動とジャズ/フリー・ミュージック・プロダクション/二人のペーター――コヴァルトとブロッツマン/高瀬アキ/ルディ・マハールとアクセル・ドゥナー-注目の中堅ミュージシャン/東ドイツ
                          
2. オランダ 
ミシャ・メンゲルベルク-ダダ、そしてエリック・ドルフィー/インスタント・コンポーザース・プールとビムハウス/ICPオーケストラ/ヴィレム・ブレゥカー――ジャンルの横断/ハン・ベニンク――即興ドラムの可能性

 

3. イギリス
リトル・シアター・クラブとロニー・スコッツ・オールド・プレイス/ロンドン・ジャズ・コンポーザース・オーケストラ/デレク・ベイリーとインカス――即興音楽のアイコン/エヴァン・パーカー――サウンドの探求者/ジョン・ブッチャー――サウンド戦略の転換

 

4.フランス
イマジナリー・フォークロアとローカル/ルイ・スクラヴィス――リヨンから世界へ

 

5.イタリア
イタリアン・インスタビレ・オーケストラの登場/ジョルジォ・ガスリーニ――ミラノのマエストロ/マリオ・スキアーノ――ローマ・フリージャズ界のドン/ピノ・ミナフラ――IIOのリーダー

 

6. スイス
イレーネ・シュヴァイツアーとカネイユ/女性ミュージシャンの進出

 

第四章 ジャズ祭

 

フェスティヴァルという窓
ベルリン・ジャズ祭――状況論としてのジャズ
メールス・ジャズ祭――時代のアンテナ
ウンエアホェルト――ローカルからの発想

 

あとがき


【内容紹介】

第一章でヨーロッパにおけるジャズの受容について1920年代からの歴史的な流れを押さえ、第二章ではヨーロッパ独自のフリー・ムーヴメントが起こった60年代とそれに伴うミュージシャンの意識変化、その前後でなにがどう変わったかについて紹介。第三章では国・地域別に60年代以降のさまざまな動きについて、キーパーソンとなったミュージシャン、また自主組織などにスポットを当て、実際に取材した彼らの言葉・本音も交えながら記述。ここで取り上げたミュージシャンは、アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハ、ペーター・ブロッツマン、ペーター・コヴァルト、高瀬アキ、ルディ・マハール、アクセル・ドゥナー、ミシャ・メンゲルベルク、ヴィレム・ブレゥカー、ハン・ベニンク、バリー・ガイ、デレク・ベイリー、エヴァン・パーカー、ジョン・ブッチャー、ルイ・スクラヴィス、ジョルジォ・ガスリーニ、ピノ・ミナフラ、イレーネ・シュヴァイツァーなど。そして、第四章は「ジャズ祭という窓」について。今やジャズはヨーロッパ文化の一部であるという視座から書いた。